Q&A
設計にあたって Designing
職員や保護者には、新しい園舎のことを
どのように伝えればいいのでしょうか。
実際に新しい園舎ができあがったときの理解が高い園舎では、設計中から職員や保護者を巻き込んでいる例が多いようです。どんなコンセプト、どんな教育理念で、どのような園にしていくのか……。園のお知らせを利用したり、空間のディテールについて職員とも話し合ったりしながら、新しい園へのイメージを膨らませておくといいのではないでしょうか。「幼児の城」では、設計のごく初期の段階で、コンセプトブックと呼ぶ絵本を準備しています。新しい園について、直感的に把握しやすい絵や詩のような言葉で説明するこの本も、ぜひ役立ててください。
将来的な施設の変化に対応できるよう
設計してもらえますか?
「幼児の城」では、現代の園舎は、転用や園児数の増減を見越して考えるのが必須だと考えています。たとえば年齢ごとの園児数のばらつきに合わせて部屋の大きさが多少変えられたり、園児数の園児数が減った場合に空き教室を地域の施設として運営したり……。さまざまなケースがありえますが、柱の数をなるべく少なくする、間仕切りを全て取り払うことができるようにするなど、空間のポテンシャルを確保したいと考えています。もちろんこれらは基本的には将来に対しての先行投資になりますが、全く転用の効かない、社会の変化に対応できない建物ではいけないと考えているからです。
さらに設備の面でも、将来的に空調を入れたい、太陽光パネルを設置したいといった希望や予定があれば、なるべく設計者と共有しておくのが望ましいでしょう。
どうも担当者と上手くいかない気が
するのですが……。
ごくごく稀ながら、このような質問が寄せられることがあるのですが、誠意を持って“愛される園舎”を目指しているという点では、どの担当者も同じ熱意と愛情を持っていると自負しています。まずは信頼関係が何よりの基礎だと考えていますので、どうぞ率直にお話しください。
こちらの希望はどの程度かなうのでしょう?
もちろんすべて、を目指していますが、当初の希望をそのまま全部織り込むと予算や規模が大幅にオーバーするのはよくあるケースです。オーバーしたからといって切り捨てるのではなく、木材のランクを変えたり、いくつかの用途を兼ねられる部屋をつくったり……と、経験に基づいてさまざまなご提案をいたします。
設計が変更できるのはいつまでですか?
完成するまで変更は可能です。ただし園舎の形をひとつに落とし込むための「基本設計」の期間は、何度も話し合いながらプランを調整し、お客様と設計者の意思疎通を図っていく期間です。ここを終え、実施設計に入ってからの変更は、追加コストが発生したり、また工期にも大きく関わったりすることがあります。保育園のように補助金事業として行う場合、補助金が発生するまでに建物を建て終えなくてはいけませんから、完成時期から逆算すると、設計変更を時間が許さないケースも出てきます。どんなに小さな疑問点でも、基本設計の間にお出しいただいて解決していくのが、いちばん効率的だと考えています。
図面だけで完成形がイメージできるのか
心配なのですが……。
平面図を見ただけでは、実際にできあがる空間の想像が難しいのは当然のこと。CGパースや模型、コンセプトなどを用いながら、イメージを共有していきますが、それでも限界はあると感じています。そのために、私たちが積極的に行っているのは、規模やコンセプトの近い実際の園舎を一緒に見学すること。窓の開き方、近隣と建物の関わり方、色の出方などは、実際のスケールで見るのがいちばん理解しやすいからです。実例が多い分、比較対象も多く見つけられるのは、「幼児の城」の強味でもあります。