調査研究報告
幼児の城では、大学や企業などの専門機関と共同で、
子どもと環境に関する調査研究を行っています。
保育施設における遊び環境の違いが、
子どもの動作環境に与える影響を明らかにしました。
3園に通う園児の1日を、園舎や園庭によって園児間で個人差のある17種類の動作(持つ・乗る・振る・引く・跳ぶ・組む・押す・回る・歩く・打つ・投げる・立つ・はう・支える・渡る・押さえる・渡す)にどのような違いが生じるかビデオで追跡し、集計しました。
調査結果を分析すると、
①自由保育中の遊び環境は園庭と屋内のいずれかに限定して遊ぶことに比べて、園庭と屋内の両方とした方が動作種類は増えやすい傾向にある。
②園児間で個人差のある動作を促すための遊び環境は
a.) 保育室や広場(遊具等があらかじめ用意されていない場所で行う戯れ合うなどの身体遊び)
b.) 保育室(模倣・象徴遊び、構成遊び、ゲーム遊び)
c.) 築山や斜面遊具(ロープやネットを用いる外遊び)
であることが分かりました。
[プレスリリースを読む]
[日比野設計、福井大学と共同調査を実施]保育施設における園児間で個人差のある動作を促すための遊び環境に関する研究
2023年3月
天然アロマの香りが保育者の労働環境に
良い影響を与えていることがわかりました
日本全国9施設の保育者へ@aroma 社製の天然アロマによるアロマ空間を提供し、保育現場における天然アロマの効果についてアンケート調査を行いました。
調査結果を分析すると、
① アロマの設置前後での保育者の気分については、いずれも数値の増加がみられ、香りが保育者の労働環境に好影響を与えていることがわかりました。
「いい気分で保育を行えている」88.5% → 100.0%
「ストレスを感じずに保育を行えている」65.7% → 96.4%
「疲れを感じずに保育を行えている」65.7% → 83.9%
② 保育現場の施設の印象評価については、
アロマの設置により、「すべての印象評価項目がよりよい結果」となりました。
また、アロマは保育室に設置することが、エントランスなど保育室以外での設置よりも、より良い効果を発揮することがわかりました。
[プレスリリースを読む]
[日比野設計、福井大学と共同調査を実施]保育現場における天然アロマの効果
2020年11月
[論文を読む]
梅田皓史、西本雅人、日比野拓『保育施設におけるアロマの保育的効果に関する研究-アンケート比較から見るアロマ設置前後の保育室の印象の差-』日本建築学会東海支部研究報告集 第59号
2021年2月
日常生活や普段の遊びの中で体を動かすことのできる
新園舎の環境が子どもの体力向上につながりました
調査対象施設は多様な動きを誘発する遊び環境を備えている園、または新園舎が計画されている園の、合計6園(のべ3612人の園児が対象)をにおいて、体力テスト・歩数調査・ビデオによる観察調査を行いました
調査結果を分析すると、
①遊び環境の違いが体力テストの結果に示される。
②新園舎に移行した年度に体力得点が高くなった。
③平均歩数が7500歩以上となる子どもは体力得点が高い傾向にある。
④遊具を使った運動遊びや、追いかけっこや山に登る、相撲ごっこといった身体運動遊びには、含まれる動作種類が多い。
ことが分かりました。
2021年2月
保育室を木質化することで
子どもたちの疲労度が低下するという結果が得られました
保育施設では木材の利用が増えています。
内装に木材を利用することが保育に及ぼす影響がどのようなものかを調べるためにアンケート調査を行いました。
アンケート結果を分析すると、保育方法と子どもの様子に関する保育者の評価は、
①内装に使用する木材の割合の影響を受けること
②3-5歳の保育室において、木質内装材がない場合の方が
子どもに「注意集中の困難」や「眠気とだるさ」が見られるという評価が
8〜14%高くなることを明らかになりました。
[論文を読む]
西本雅人、河合慎介、今井正次、日比野拓『内装木質化の保育室に関する保育者による評価 ―保育室の内装木質化による保育への効果に関する研究』日本建築学会計画系論文集 第84巻 第756号
2019年2月