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笑顔がいっぱいの園舎づくり

HK Kindergarten and Nursery

「せーの、こんにちはー!」

きらきらした目をした子どもたちの、とびきり元気な声が響きます。青々とした芝生の広がる園庭に面したスタジオ。園の見学に訪れるオランダからのお客様、スザンヌ・ヴァン・ラヴェンスウェイさんに出会うのを、子どもたちはしばらく前から心待ちにしていたのだそう。エントランス脇の靴箱を囲む黒板壁に描かれた「ようこそスザンヌ!」の文字などからは、スタッフぐるみの歓迎ムードも伝わってきます。

園に一歩足を踏み入れるなり、「とても和やかで、家庭的な雰囲気ね」とスザンヌさん。日本の幼児施設を見るのはこれが初めて。物怖じせずになついてくる子どもたちの様子に、自然と笑みがこぼれます。

スザンヌさんは、オランダ・アムステルダムを拠点に、オランダで8園の幼児施設を運営するオーナー。そのうちの1園である〈ヴィラ・ヴォンデル託児所〉を、海外視察に出かけた「幼児の城」のメンバーが訪れたのが縁となり、現在、オランダでの新たなプロジェクトの設計を「幼児の城」に依頼しているのです。今回の旅は、「幼児の城」で手がける幼児施設の世界観を知ってもらうためのもの。「幼児の城」が子どものための建物や空間で目指すのはどんなものなのかを共有するために、設計のご依頼を受ける際には、ほとんどすべてのオーナーにお願いしていることでもあります。

「ご用意ができました。どうぞ!」

アトリエで夢中になって創作する子どもたち

スタジオとは廊下を挟んで向き合うかたちに配置された、ガラス張りの職員室から興味深そうに辺りを見ていたスザンヌさんのところへ、子どもたちのかわいいお迎えがやってきました。歓迎の気持ちを現すために、年長のクラスの子どもたちがダンスを練習してくれたのだそう。スザンヌさんがスタジオの真ん中に座ったところで音楽がかかると、ドドドドドと子どもたちが走り込んできて、ダンスを2曲披露してくれました。

「元気いっぱいね! この広々とした空間でも足りないくらいに見える」

全力の歓迎を受けて、どんどん表情がほぐれていくスザンヌさん。では一緒に園を一周してみましょうか。1階は、園庭側から順に、目一杯に体を動かせるスタジオ、絵画や工作などの創作活動を行うアトリエ、中庭、ダイニングルーム、テラスまでが、段差なくつながっていくつくり。最長で80 mに及ぶ大空間が確保されています。ここから階段を上がった2階が、保育室や絵本コーナーなどからなる、よりプライベートな空間。各部屋の扉は完全に開放できて廊下へとつながるため、ここでも空間の一体感が損なわれることはありません。

幼児施設では敬遠されがちな石も使っており足に心地いい。

2階の廊下の突き当たりは、園庭側へと張り出したバルコニーになっている。“花ブロック”とも呼ばれる穴の空いたコンクリートブロックは、沖縄に固有の建材。台風の飛来物などから建物を守り、かつ強すぎる日差しを弱めてくれるが、外の様子はよく見える。廊下からひとつながりになった半屋外の空間。

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