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愛される園舎のつくりかた
さいわい保育園
地域とつながる
街の園舎
また建物のあちこちに腰かけやデンなど遊びの“きっかけ”を用意したほか、2階ホールのバルコニーには、3階までの2層分にまたがるネット遊具を設置しました。職人の手で微調整を繰り返しながら編み上げたこの遊具伝いに、子どもたちは2階と3階を行き来できるのです。「今までにない遊具なので、当初は運営側に戸惑いもありました」と大久保園長。「でも何より子どもたちが、全身を使ってよじ上ったり転がったりして遊ぶのが大好きなんです。安全性を確保するのはもちろんですが、だからといってこれまでにないものに非寛容にならないよう、運営側も変わっていかなければ、と感じています」。
さらに、食育に力を注ぐ〈さいわい保育園〉を象徴するのが調理室。エントランスすぐそばという“一等地”に設けられており、園を訪れた誰もが、中の様子を伺うことができます。「園の取り組みを示すとともに、調理の過程が見えることで生まれる安心感も大きいと思います」と永嶋法人本部長。
1階に調理室、2階から3階にかけてはネット遊具……。エントランス側から見る園の建物は、何とも楽しげな様子で地域にアピールすることでしょう。夕暮れが迫って園に明かりが灯ると、外壁のメッシュ越しに優しい光がもれて建物全体が行灯のよう。周辺の住宅地とも調和していく建物です。
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デッキテラスやバルコニーを建物のあちこちに設置。幅の広い階段や廊下でつなぎ、変化のある遊び環境をつくり出しています。
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2階のルーフバルコニー。園庭をまたぐブリッジを介して、もうひとつのルーフバルコニーへとつながっています。
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エントランス側の外観。ステンレスメッシュは、かつて宿場町として栄えた板橋区を象徴する、宿屋のすだれを表現しました。ブルーのガラス部分に、バルコニーのネット遊具が設置されています。
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永嶋英子法人本部長(左から4人目)、大久保善晴園長(同5人目)と子どもたち。
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